ある日、その日はお客が来阪していて、客人を見送りがてら難波までやってきたのだった。少しふらふらしたあと、ちょびっとうまい酒でも飲んでお別れできたらということで、慌てて本屋に飛び込み猛然とリサーチ。「山三」というお店がよさそうに思えたので訪れることにした。
種類の豊富な日本酒と、お造りの内容、自家製スモーク(あなごetc)というメニューを見て、きっちり呑む・食うできる店かなと思った。軽く一杯引っ掛けるのもいいけど、がつがつ食うのもいいけど、「ちょっとうまい肴と酒」、そういう感じ。それなら一番に気になるのが味で、しっかりと味わいたい。ぼくは、店の雰囲気に味が負けているのがすごく嫌いだ。やたらお洒落なのに美味しくない、とか。場末の、一見寂れた店なら「そこそこ」の味でも許せる場合が多いのに、建物、内装、店員の格好までピシッとしていて、値段もけして安くないのに味は「そこそこ」だと遣る瀬無くなる。「やまさん」はそれほど内装は洒落ているわけでもないけど、価格的にもやはり「ちょっとうまいもの食わすじゃない」と思わないと次はこないだろう、ぐらいではある。ただ、「やまさん」の場合はお品書きをようく見てみると、大体そんな心配はなくなる。味に対する気遣いは相当なものだろうことぐらい簡単にわかるメニューリストだった。酒と肴、一献傾けつつ嗜むメニューである。
日本酒はだいたい、一杯700円くらいから。奈良に、春鹿という大和の民に愛される酒がある。どうにもスーパーすっきりした味わいであるらしく、好みが合う人は大変ハマるのか春鹿専門の愛好家も少なくない。そういう噂を聞いては、試しに行かないわけにはいかない。せっかく関西にいるのだしと奈良県に住む弟に会う約束にかこつけて、市内の居酒屋でたらふく日本酒を飲んだことがあった。ただ、件の春鹿は、たしかにすっきりした透き通った味わいであるが、どうにもそれほど魅力的ではない。仕方ないので、その店にある日本酒を全て試すのだとおよそ10種ほど弟と試す眇めつ飲みしきり、途中から味なんぞまったくわからないほどに酔っ払って、電車に乗った記憶もほとんど朧、といった有体で帰宅したのだった。
その、「春鹿」がある。ある種の人たちから熱狂的な支持のある酒だ、弟と飲んだそれが真実の姿とも限るまい、エビスの瓶のあと一杯目は「春鹿」を頼んだ。
ああ、うまい。
これはうまいですわ、確かに、超辛口。それほど辛口の酒が好きでない方でもその魅力は十分に伝わる。料理を選ぶかもしれないが、いや、肴はほとんど要らないかもしれない。辛口、ああうまい。
店内メニューには数多くの日本酒がリストアップされ、簡単に甘口だの辛口だの日本酒度などが記載されている。せっかくなのでこのリストを頼りに、もう一つ辛口の酒を選んでみた。「磯自慢」。春鹿よりはコクがあって、「いい酒」という感じだ。普段は「いい酒」っぽい酒は飲まないので新鮮な感じがする。少しいい思い出が残ったな。
料理は、まあ料理というよりは「肴」で、安くはないけど高くない。一皿にそれなりに量があるから。ちょびっと、という感じではない。そして、まあ美味い。一品ばかりを集めた、という感じもあるし逆に素朴な味わいの関東煮などは存在感のある味で美味しかった。自家製スモークもいい香りでした。穴子の自家製スモークというのはそれだけで卑怯じゃない?名前だけで酒が飲めるわ。
しかし、残念ながら写真がない。が、まあなくてもいいだろう。この店はどんな人にも「本当にお勧め」できると思う。激安大衆店の魅力はないかわりに、まあどんな人と行っても恥ずかしくはないと思う。
ただ、注意しておきたいのは料理が出てくるのが遅いからだ。夫婦二人で満席の店を切り盛りしているのが仕方がないのだけど、覚悟はしておいたほうがいい。そもそも僕はゆっくり飲み食いしたいのでそんなことはぜんぜん苦にならなかったけれども。
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2009年12月16日水曜日
難波 「山三」
投稿者 ひこぼう 時刻: 3:56
ラベル: 飲食・料理・お酒・甘味, 居酒屋
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