2009年12月16日水曜日

河内国分・居酒屋 「壱番」

近頃でこそ同じ大学院に通っている学生とたまに外でメシを食うので若干は外食するけれど、それまではほとんど外食しなかった。ただひたすら家ご飯で満足しているので、わざわざちょっとそこまで飲みに、とはならないし、街へ出かける貴重な機会においては、すごくすごくリサーチをしてから店を選ぶ。だから家からの最寄り駅の裏手に当たる場所にこじんまりと軒を連ねる飲み屋街・・・というか路地を知らなかったし、駅からの家路にぽつぽつと点在する飲食店にも目を向けたことはない。

正直に言おう。僕には、「大阪にはあまりおいしいものがない」という偏見があった。今でも、「探すのは大変」というレベルで、それはある。

なんというか、安かろう悪かろう、というイメージが多少なりともあるのだった。逆に、東京に対してそういう偏見を持つひともいる。あんなごみごみとした大都会で、うまいものなど食えるのか、と。たしかに、新宿でも見渡す限り店・店・店で、しかも(ぱっと見で判断できるとできないとにかかわらず)かなりの割合が資本化されたチェーン店だったりするのだ。チェーン店の全てが悪いわけではないが、流通・流行・効率の面にばかり手をかけられているといった印象には、魅力の要素はほとんどない。悪意のある言い方をすれば、そんあチェーン店のものばかり食べているひとに、おいしいものがわかるのか、という疑念。だから東京には美味しいものがないのじゃないか、と思うのは人情にとしては理解できるが、ある側面ではたしかにそうも「言える」という程度のことであって、実際にはそんな偏見は「ほとんど間違い」なわけである。

ここで、僕が東京を云々することはもちろんただ面倒くさい事でしかないのでやめておくが、大阪との比較で言えば、家電に関しては東京の方が安かった、ということにはハッとさせられた。まあ、それは単純に秋葉原と日本橋の比較でしかないが、秋葉原の方がだいぶん安かった。物が多く集まるところ、ひとがより多いということにはそれだけで十分意味がある。

話を元に戻そう。家からの最寄り駅近辺にある、居酒屋である。何かの拍子で、駅近くを散策した際に飲み屋小路を見つけてしまったのだ。いかに外食をしていない生活とはいえ、疼くものがないはずがない。立ち寄るつもりはこれっぽっちもなかったのに、店構えやら、張り出しているメニューやらちらちらと見定め、ついにはそれぞれ店の客入りまで観察している。こんなにも誘惑に弱いものか、と思うより先に赤提灯にわくわくしていたのでは世話はない。這入るならここだ、という店が明確にあった、ピンときたのでそこに「壱番」の暖簾をくぐった。

いちおう、焼き鳥という文字が軒先のどこかにあったようだけど、メニューは居酒屋メニュー。焼き物から揚げ物、ご飯物までとにかく種類が豊富である。しかしまあ、個人の趣味というので注文するメニューってのはだいたいすぐ決まるものだが、それでもちょっとは悩むぐらいにメニューが抱負。ただ、個人的に「初めて来る店で、鉄板焼専門の店でもないのに「とんぺい焼き」を頼んでも仕方ない」というのはあって、その店の売りのものと、危険そうでなければ生ものは頼むかなあ。

この店でまず目に付いたのは、「レバ刺」「さいぼし」である。東・南大阪から奈良にかけては独特の食肉文化があるようで、とくに有名なのは「油かす」だろうか(油かすについてはココで。塩気が濃く鍋に突っ込んでもいいしなかなか面白い食べ物だ)。さいぼし、というのは馬肉の半生ぐらいの燻製だと思ってくれればいい。どこでも食べれるものではないので、「レバ刺」とともにまず注文した。「さいぼし」からいただくことにする。

うん、よく油が乗っていて、食感も悪くなくて、まあおいしい。牛レバーも甘みがしっかりあっていい。

お酒は、熱燗を頼んだ。どうやら「剣菱」のようで、珍しいというほどではないけどまあ一風変わった酒器に容れられて出された。値段は1合で400円ぐらいだっけか、まあ普通。そのほかちょいちょい食べてみて、ひとり3000円強。内容からすれば、値段もまあ普通。


そう、全体的に「とかく及第点+α」、まあまあ食べれる。しょっちゅう外食する生活なら、たびたび足を運んだであろう。しかし、お家ご飯の魅力をたまにでも退けるほどの魅力には至らなかった。


そのことが、逆に燃えるのである。「さいぼし」はとてもいい肉の食い方だ。あれはうまいのは本当にぶっ飛ぶぐらいうまい食い物だろう。居酒屋も、全体的に悪くはなかった。だからこそ、今度は「ぶっ飛ぶくらいうまい」さいぼしが、食いたくて食いたくて仕方がない。あとどれくらいの期間関西に住むだろう?その間に、贅沢はしないけど、全力で「うまいさいぼし」見つけてみせる。基本的には保存食だから、めぐり合いでお肉屋さんとかで見つけることができれば、通販などの可能性も考えられる。ここでまた紹介できるととてもいいいなあ、と思いつつまだ見ぬさいぼしに思いを馳せ、夜は更けていくのであった。ぼくは欲望対しては執念深い男だから、期待していて損はさせないはずだ。




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